九州山地における推定個体数はわずか200頭:8年前の1/4に。
第5回(2018/2019)九州山地カモシカ特別調査の報告(PDFリンク:会報49号より)
九州−宮崎のニホンカモシカ:ニホンカモシカとは?
ニホンカモシカCapricornis crispus(Temminck)は国の特別天然記念物に指定されている日本固有の希少野生生物です。体長(頭胴長)は100cm強、体高70cm前後、体重30〜45kg、雌雄共に角を持ちます。鯨偶蹄目(Cetartiodactyla)ウシ科(Bovidae)ヤギ亜科(Caprinae)カモシカ属(Capricornis)に属します。ですので分類上は「シカ」よりも「ヤギ」に近い動物といえます。中国地方を除く本州、四国、九州の低山帯から亜高山帯を中心に分布し、特に岩場の多い急峻な地形を好む傾向があります。単独生活で縄張りを持つことが知られています。分布の北限は青森県下北半島、南限は宮崎県綾町とされていますが、南限についてはより南側の地域からも目撃情報が寄せられており、分布域が拡大している可能性があります。
近年、東北地方や中部地方を中心に分布域が拡大し、農業被害が深刻化しています。一方で、熊本、大分、宮崎の3県に分布する九州地方のカモシカ個体群については、その数を減らし続けていて、環境省のレッドリストにおいても絶滅の恐れのある地域個体群(LP)とされています。宮崎県では準絶滅危惧種(NT-g)に区分されています。